航空会社:エル・アル航空
便名:LY82便
区間:BKK(バンコク/スワンナプーム国際空港)→TLV(テルアビブ/ベン・グリオン国際空港)
機材:747-400(4X-ELD)
利用日:2019/3/3
前回の続きです。前編の記事はこちら↓
世界中の航空会社の中でもセキュリティチェックが非常に厳しいエルアル・イスラエル航空を利用して、成田からバンコクを経由し、テルアビブを目指します。
1.スワンナプーム国際空港での「尋問」
TG643便はスワンナプーム国際空港に到着しました。ここでエルアル航空LY82便に乗り継ぎます。
ただし、ここで1つ問題があります。エルアル航空の搭乗記はいくつかネットに上げられています。しかし、今まで搭乗した人たちの搭乗記はバンコク始発の航空券のものばかりなのです。バンコク始発の航空券であれば、スワンナプーム国際空港のチェックインカウンターでたくさんの質問を受け、厳重な荷物検査をくぐりぬければ搭乗できます。しかし、私はもうすでに成田空港でチェックインを済ませ、バンコク発テルアビブ行きの航空券を手元に持っているのです。非常に警備の厳しいエルアル航空のことですから、成田空港での簡単な質問のやり取り(詳しくは前回参照)だけで搭乗できるはずがありません。ネットにもバンコクを経由してテルアビブに行った搭乗記は存在しません。したがって、私はどこでセキュリティチェックを受けるのか全く分からないのです。
出発時間が近づくにつれて不安が募りますが、おとなしく空港にある日本料理店で待つことにします。私はラーメンとチャイのセットを注文。日本のラーメンの味には程遠いですが、しばらく食べられなくなる日本料理の味を噛み締めました。
食事を食べた後はゲートへ。エルアル航空LY82便、テルアビブ行きはE7ゲートから出発です。
E7ゲートに行った瞬間目の前に現れたのはいくつかの譜面台。譜面台の周辺にはパソコンもあります。このあとここで何が起きるのか...訳の分からぬまま搭乗開始を待ちます。(上の画像は後日訪問したE7ゲートとイメージ画像)
しばらくすると、譜面台の前にも係員の人が現れました。それと同時に上の画像左手のゲートも空き、搭乗が始まりました。私はどうしたらいいのかも分からないので、とりあえず譜面台のところに並びます。(このときは分からなかったのですが、この譜面台は乗り継ぎ客専用のセキュリティカウンターでした。)
私の前には数人の外国人の方が並んでいます。私の後ろにも20-30名ほど乗り継ぎの人がいました。係員の人は乗り継ぎ客に簡単な質問をするのみで、比較的スイスイと列は進みます。あまり時間がかからずに私の番になりました。
しかし、ここからが長かったのです。耳にピアスをしたお姉さんが応対します。ピアスのせいで見た目がかなり厳ついです。
係員「搭乗券見せて。どこから来たの?」
係員「今回の旅の目的は?」
実をいうと、エルアル航空に乗るのが旅の1番の目的です。しかしそんなことを言っては怪しまれるだけなので、私は普通の旅行客を装い返答します。
私「観光です。」
係員「どこを見に行くの?」
私「テルアビブとエルサレムに」
係員「エルサレムではどこを見に行くの?」
私「嘆きの壁、岩のドームに行く予定です。」
係員「なんでエルサレムに行くの?」
私「私は世界の宗教に関心があり、各宗教の聖地が集まるエルサレムに行ってみたいと思ったのです。」
いろいろと聞かれていますが、怪しいくない普通の回答を丁寧に並べていきます。のらりくらりと質問をかわしているうちに、観光のことについて聞かれるのはひと段落。ここで終わりかと思ったら大間違いでした。続いて私の個人情報について聞いてきます。
係員「あなたは普段何やってるの」
私「○○大学で○○の研究をしています。」
係員「大学のHP見せて」
係員「あなたがこの大学に所属している証拠を見せて」
私「このHPに載ってるこの画像、私のものです。」
係員「なんでこんなに長い休みを取れるの」
係員「今回の旅行の資金はどこから手に入れたの」
係員「最近ロシアに行ってるみたいだけど、こっちの旅行の資金はどこから手に入れたの」
お金のことに関してしつこく聞かれます。さすがエルアル航空、なかなか乗せてくれません。日本人である私だけにこんな長々と質問を浴びせていくので、昔日本赤軍がやったテルアビブ銃乱射事件も関係しているかもしれません。質問攻めが続く最中、恐怖から体が震えだします。
係員「大丈夫。落ち着いて答えて」
しまいには係員のお姉さんからも心配される始末です。
こうして30-40分くらい質問が続いたでしょうか。私に対するセキュリティチェックは終わり、セキュリティの質問が終わったことを表す印が搭乗券に書かれます。気づいた頃には乗り継ぎ客で質問を受けているのは私1人になっていました。恐るべきエルアル航空のセキュリティ...
しかしこれでもまだ飛行機には乗れません。搭乗ゲートの前にいる別の係員に搭乗券を見せると、今度は1階にある預入荷物を検査している部屋に通されました。
係員「貴重品とモバイバッテリー以外は置いておきなさい。預け入れ荷物にします。」
仕方なく財布と携帯、モバイルバッテリーを別にしますが、ここでも問題が発生しました。私はポーチのような小袋を持っていないのです。その代わりに持っていたのはスーパーのビニール袋。ビニール袋に貴重品を入れて次の段階に進みます。コンビニ帰りのおじさんみたいな恰好になってしまいました。
続いて受けたのは火薬検査。靴にリトマス紙のようなものを付けられます。当然私は火薬のある空間に行ったことはないので、火薬反応はありません。
ここでやっと係員から「行ってよろしい」の合図。搭乗客が集まっているベンチに行き、他の搭乗客にやっと合流。間髪入れずに搭乗が開始され、機内に乗り込みます。
2.搭乗記
前置きが長くなりましたが、ここからが本格的な搭乗記です。
搭乗した日のバンコク発テルアビブ行きLY82便はバンコク・スワンナプーム国際空港を0:20に出発し、6:25にテルアビブ・ベングリオン国際空港に到着します。この使用機材は747-400(4X-ELD)でした。
搭乗した日の機材は1999年登録の経年機です。座席はこんな感じ(この写真)。こんな肉厚なシート、今ではなかなかお目にかかれません。
シートピッチは先ほど乗ってきたタイ国際航空のものとあまり変わりません。むしろタイ国際航空の機材よりも広い気がします。一方で、シートモニターは今までに見たことのない小ささです。自分で見たいプログラムを見ることはできず、テレビみたいに複数あるチャンネルから自分の好きなものを見る方式です。
オーバヘッドキャビンも小さく、収容力はほぼありません。私が搭乗したときにはほとんどのキャビンは満杯でした。
搭乗機の古さに驚いている間にドアクローズ。ここからは本当に普通の航空会社のフライトです。4発機特有の長い滑走距離を走行しながら、飛行機はバンコクを飛び立ちます。深夜発の便であったことと、搭乗前の質問攻めで疲れていたこともあり私はすぐさま夢の中へ。
次に私が起きた時は着陸前の朝食のときでした。
機内食はオムレツにサラダ、パン、マフィンと極めて一般的なもの。美味しく頂きました。
朝食を食べている間にも、飛行機は徐々にテルアビブに近づいていきます。飛行機から眺める朝焼けは、非常にきれいでした。
飛行機は紅海沿いに飛行し、イスラエルを目指します。いったん空港の上空を通過し、テルアビブ空港に無事着陸です。地対空ミサイル防衛装置を使用せずに着陸したことに一安心です。
3.まとめ
エルアルイスラエル航空、搭乗するまでがいろいろと大変でしたが、いざ搭乗すると割と普通の航空会社でした。
来年日本にも就航するエルアル航空、皆さんも利用してはいかがでしょうか。
イスラエル旅行関連の記事はこちらにもあります。よかったら読んでみてください。