(2019年3月21日 バンコク駅(フアランポーン駅)にて)
最近搭乗記ネタが尽きてきたこともあり、今回は列車の移動記を書こうと思います。
今回紹介するのはタイ国鉄の51列車。
日本で活躍した寝台客車に乗って、ドンムアンからチェンマイを目指します。
1.タイ国鉄のブルトレについて
【タイ国鉄ブルートレイン客車の洗面台。日本のはるか南で見れる国鉄時代の情景。】
2015年の北斗星を最後に、日本からその姿を消した消したブルートレイン。
日本国内ではブルートレインの保存車に乗れる施設こそあるものの、動いているブルートレインの中で寝ることは叶わなくなってしまいました。
しかし、世界で唯一動いているブルートレインに乗る方法が方法があります。
タイに行くことです。
2.ブルートレインが連結されやすい51レ/52レ
(2020年2月23日 チェンマイ駅にて)
タイのブルートレイン客車は、2004年と2008年にJR西日本から譲渡されています。
譲渡された当初、ブルートレイン客車は定期的にバンコクとチェンマイの間を走る13/14レ(レは列車の意味)の運用に入っていました。
しかし近年登場した中国製客車により、日本のブルートレイン客車の定期運用は消滅。
確実にブルートレインに乗れる列車はなくなってしまいました。
定期運用は消滅してしまったものの、ブルートレインに乗れるチャンスがなくなったわけではありません。
タイ国鉄にはブルートレインが増結されやすい列車があるのです。
その列車は909レ/910レ(通称ナムトク臨)と、今回紹介する51レ/52レです。
51レ/52レはバンコクとチェンマイを結ぶ急行列車で、51レはバンコクを22時に出発。チェンマイにはお昼ごろ到着します。
52レは15:30にチェンマイを出発し、翌朝5時25分にバンコク駅に到着します。
この列車が増結される場合、ブルートレイン客車が入ることが多いのです。
(注:いつも寝台車が連結されているとは限りません。)
残念ながら、乗車する当日にブルートレイン客車が連結されているかは乗車してみないことにはわかりません。
(現地在住の方のツイッターを見て、今が増結されやすい時期か探ることは可能です。)
3.乗車記
ブルートレインに乗れるかは分かりませんが、とりあいず51レの乗車券を当日に購入し、バンコクからチェンマイに移動してみます。
(※ちなみに51/52レには座席車も連結されているため、仮に寝台車が満席だったとしても乗れないということはありません。)
今回の旅程は
1日目:新千歳空港~(ノックスクート)~ドンムアン空港~(51レ)~(車中泊)~
2日目:(51レ)~チェンマイ~(タイ・エアアジア)~ドンムアン空港
3日目:ドンムアン空港~(タイ・ライオンエア)~成田空港~(Peach)~新千歳空港
という強行スケジュール。
今回の旅行記はドンムアン空港から始めます。
新千歳空港からドンムアン空港にかけての模様は、以前記事にしているのでそちらをごらんください。
出発はドンムアン空港から。
空港と駅は接続されており、徒歩で行くことが可能です。
東南アジア独特の蒸し暑い空気を全身で感じながら、駅へと向かいます。
ドンムアン空港は比較的大きな駅なので、窓口があります。
夜行列車が出発する関係上、夜までやっているので営業時間を気にすることはありません。
駅員さんに「Do you have JR Class?」と訪ねます(バンコク駅ではこの言い方をするとブルートレインの寝台を取ってもらえる)が、わかってもらえません。
(後ほど分かりますが、駅員さんは私の意図が分からなかったようです。)
仕方なく寝台に乗りたいことを告げ、きっぷを購入します。
きっぷに印刷されている座席の番号を見るに、ブルートレインではない客車をあてがわれたようです。
蒸し暑さの残るホームで一息。列車を待ちます。
ホームの横には露天があり、なにかを売っています。
ここでお腹を壊したら洒落にならないので今回は我慢。
(写真は51レの前に出発していった別の夜行列車)
きっぷを買ってから1時間ほどたち、定時より少し遅れて51レが到着します。
連結されているのは、やはり現地の寝台客車です。
少しがっかり...のはずが、編成の後ろには現地のものよりも一回り大きい客車が連結されています。
ブルートレインです!
興奮を抑えきれず、列車に乗り込みます。
まずは今回利用する寝台客車に向かいます。
指定されたのは元々現地にいる客車の2等寝台の上段。
上段だと高さがあり、もし落ちたときのことを心配してしまいます。
自分の区画の寝台のベッドメイキングをし、いよいよ見物がてらブルートレイン客車に乗り込みます。
開放2段寝台、煌々と輝く照明...
そこには昭和~平成でよく見られた、ブルートレインの情景が広がっているのでした。
その空間がほぼそのまま残っているのですから、感動もひとしおです。
廊下にある椅子に腰掛け、流れ行く風景を楽しみます。
車窓からは、車であふれかえっている道路や夜市の風景が見えます。
ブルートレイン客車という日本の空間の中から見るタイの車窓はアンバランスで、不思議な感覚です。
この日はしばらくこの椅子で車窓を楽しみ、自分の寝台に戻りました。
(後半へ続く)
aroundairport.hatenablog.com