※写真のA320は、上海行きで搭乗した機体とは異なります。
航空会社:吉祥航空
便名:HO1832便
区間:CTS(札幌/新千歳空港)→PVG(上海/浦東国際空港)
機材:A320(B-6338)
利用日:2019/12/30
今回の搭乗記は全3回でお送りします。札幌/新千歳空港から上海、ヘルシンキを経由してリトアニアのビリニュスを目指します。
1.サプライズで見つけた格安航空券
航空券を購入したのは出発の5か月前、8月のことです。スカイスキャナー(https://www.skyscanner.jp/)の国別に安い航空券が出る機能を使っていたところ、フィンランドとバルト三国へ行く航空券が安いことを発見しました。
年末年始でこれほど安くヨーロッパへ行けることはあまりありません。スカイスキャナーによると、この時点でフィンランドのヘルシンキへは往復6万円、リトアニアのビリニュスへは6万2千円で行けるというのです(ヘルシンキ-ビリニュス間はフィンエアー利用)。運航する航空会社が吉祥航空という聞きなれない航空会社ですが、思い切って予約することにしました。
なお、今回の航空券は航空会社公式HP(http://jp.juneyaoair.com/)からは購入できませんでした。航空券販売サイトから買うことにします。スカイスキャナーからは航空券を購入できるサイトとして7社が提示されましたが、今回は以前にも使ったことがあるサプライズ(https://www.surpricenow.com/flights/search/search.aspx)から購入することにしました。
航空券購入サイトはサイトごとに請求金額が異なります。サプライズだと購入にかかった費用は65470円でした。最安値のサイトからは4000円ほど高くなっていますが、それでも安いほうです。
2.吉祥航空について
吉祥航空という航空会社、聞いたことのない人も多いのではないでしょうか。
吉祥航空は2005年に就航を開始した比較的新しい会社で、上海(浦東/虹橋空港)を本拠地にしています。航空連合「スターアライアンス」のコネクティングパートナーとなっており(準加盟みたいなもののようです。)、予約クラスによってはANAのマイルを貯めることもできます。
一方で、吉祥航空は航空連合「ワンワールド」に加盟しているフィンランド航空とも提携しており、吉祥航空のヘルシンキ線を利用してヨーロッパ各地へ乗り継ぐこともできます。
日本では東京(羽田・成田)、関西、名古屋、新千歳、那覇、米子に就航しています。吉祥航空は日本線の強化を打ち出しており、2019年12月からは成田線の機材を787に大型化しています。今後日本での知名度も上がっていくかもしれません。
3.航空券は本当に予約できている...?
しかしこれだけ航空券が安いと、本当に予約できるか心配になります。
そこで役に立つのが、アマデウスのeチケット確認ページ(https://web.1a-xml.jp/eITR/WebEITR/WebEntry.aspx)です。
このサイトに自分が持っているeチケットの予約番号、自分の姓名を入力します。
すると自分の予定が出てきました。これで自分のEチケットが有効であることが確信できました。一安心です。
4.搭乗記
出発は新千歳空港からです。 吉祥航空は、昨年増築されたCカウンターを使用しています。吉祥航空は上海-新千歳便を1日2便飛ばしており(2020年1月現在)、それぞれの出発時刻も1時間ちがいです。私は先発するHO1382便を利用するわけですが、チェックインカウンターに着いた時にはもうすでに後発のHO1384便のチェックインを待つ人が多く並んでいました。係員の人に先発の便の利用であることを告げ、優先的にチェックインさせてもらいます。
パスポートを提示し、預け入れ荷物の中に危険物がないことを確認されます。すると3分ほど待ったのち、新千歳→上海、上海→ヘルシンキ、ヘルシンキ→ビリニュスの3枚の航空券が出てきました。
続いてマイレージ番号の登録へ移ります。吉祥航空はスターアライアンス、ヘルシンキから利用するフィンエアーはワンワールドですので、それぞれANA、JALのマイレージ番号を登録するようお願いします。しかしチェックインカウンターの係員の方曰く、システム上どちらか一方のマイレージのみしか登録できないとのこと。以前香港でワンワールドのキャセイパシフィック航空からスターアライアンスの南アフリカ航空へ乗り継いだとき(その時の搭乗記はこちら→白ちゃんの搭乗記 vol.17.1 南アフリカ航空287便 香港→ヨハネスブルグ→ハボローネ(前編) - 白ちゃんの旅ノート)はどちらのマイレージ番号も登録することができたので、係員の方の知識不足なのかもしれません。
手続きが終了し、搭乗券ももらったのでカウンターを後にします。
カウンターとは打って変わり、荷物検査場には列がありません。昨年行われた拡張工事の効果が如実に表れているようです。出国審査もほぼ並ばずに通過し、制限エリア内に入っていきます。
新千歳空港の制限エリアに関してはキャセイパシフィック航空の搭乗記(白ちゃんの搭乗記 vol.12 キャセイパシフィック航空581便 新千歳→香港 - 白ちゃんの旅ノート)、新千歳国際線ラウンジの特集(白ちゃんの空港ガイド vol.2.1 新千歳国際空港「Royal Lounge」(国際線エリア拡張後) - 白ちゃんの旅ノート)で紹介しているので今回は省略します。今回は割と出発時刻ギリギリで出国したため、私が搭乗口に到着した時間は、機内への案内が始まる30分前でした。搭乗口の前に設置されたコンセントでスマホを充電します。するとほどなく機内への案内が開始されました。吉祥航空の機体へと足を踏み入れます。
座席はこのような感じです。座席は紫色のモケットで、ヘッドレストも付いています。
一方でヘッドカバーには「simon」の文字が印刷されています。調べると、広告を出している会社は西蒙電気といって、中国の照明メーカーのようです。
座席にシートモニターはありませんが、大きなテーブルがついています。以前搭したマカオ航空の機材の雰囲気(白ちゃんの搭乗記 vol.2.1 マカオ航空861便 成田→マカオ→ハノイ (前編) - 白ちゃんの旅ノート)に似ています。
機体の様子はこのようになっています。ビジネスクラスとエコノミークラスはパーテーションで仕切られているのが特徴です。
オーバーヘッドキャビンには中国建設銀行の広告が貼られており、なんだか新鮮な光景です。8割ほどの座席が埋まり、飛行機は新千歳空港RWY19Rを離陸していきます。
シートポケットに入っているものを取り出します。まずは安全のしおり。普通はラミネートされた一枚の紙になっていることが多いのですが、吉祥航空の安全のしおりはパンフレットのように折りたたまれています。安全のしおりが折りたたまれていると、高級感が出ると思うのは私だけでしょうか。
続いて機内誌にも目を通します。吉祥航空の機内誌は「如意时空The moment」となづけられています。機内誌での英語記事はほとんどなく、中国語を読めない私にとっては何が書いてあるのかさっぱりわかりません。
唯一雰囲気がつかめたのが鳥取の記事。吉祥航空は2020年1月11日から米子便を就航させました。就航開始前後とだけあって、普段吉祥航空を利用している人たちに鳥取県の良さをアピールする戦略のようです。
飛行開始から30分ほどたち、機内食が配られます。今回の機内食はランチボックス形式でした。献立はメインディッシュ(?)の餡餅(シャーピン)、パン、クラッカー、ピーナッツ、オレンジジュースというもの。餡餅とは、肉と野菜が小麦粉の生地で包まれたものをいいます。事前に温められた餡餅は、日本人の私の味覚にも合って美味しかったです。それ以外の食べ物は可もなく不可もなくといった感じですが、無料でついてくるものですので文句は言えません。
ランチボックスには、生鮮食品は到着地に持ち込めない旨が書いてあります。時期や便によっては、機内食で果物が提供されることもありそうです。
ところで出発前や機内食の提供中に「ピー、ピー」といった機械音が聞こえます。 どこから音がするのかと思ったら、一番前のエコノミー座席に座っていたスカイマーシャル(警備員)の人からでした。スカイマーシャルの方はエコノミーの通路を定期的に行き来して、なにやら機械を動かしています。これは一体どういうことかと思い、ビジネスクラスとの仕切りを見上げると「VIDEO SURVEILLANCE」の文字が。どうやらスカイマーシャルの方は定期的に機内を巡回し、ビデオ(もしくは写真)を撮っているようです。
しかもそのスカイマーシャルの方、私の横を通ると必ず「ピー」という音を立てます。どうやら機内の写真をたくさん撮っていたため、怪しまれてしまったようです。ただしスカイマーシャルの方に話しかけられるといったことはなく、飛行機も普通に降機できました。よほど怪しい行動をしていない限り、スカイマーシャルの方も話かけてこないと思います。
飛行機は日本列島を横断し、中国へと向かっていきます。新千歳空港を午後に出た便ですので、だんだんと日も暮れてきました。 機内にWifiが搭載されているということもありませんので、仮眠を取ったり読書をしたりして過ごします。
飛行機は対馬列島の上を通過し、上海浦東国際空港に着陸します。滑走路を抜けたところでしばし飛行機は停止し、再びタキシングを始めました。吉祥航空の本拠地であるにも関わらず、フォロミーカーの先導を受けます。 フォロミーカーで誘導されること5分、飛行機は駐機場へと到着しました。
飛行機を出て、空港のターミナルに入ります。するとそこには係員の方がおり、ヘルシンキ行きの飛行機へ乗り継ぐ人を集めていました。
札幌からヘルシンキ行きの飛行機に乗り継ぐ人は全部で3人ほど。どこに連れていかれるのかわかりませんが、係員のお姉さんについていきます。
係員のお姉さんに連れて行ってもらったのは中国の入国審査場。 飛行機の出発まで時間があるので、1回入国してほしいとのこと。中国には入国しないつもりでいましたが、大人しく従います。中国の入国カードには中国での滞在場所を書く欄がありますが、「TRANSFFER」と書いて提出。無事入国できました。入国審査場の先には先ほどのお姉さんが立っており、再びついていきます。最終的にお姉さんに連れられてきた場所は出発階の総合案内所。まだ飛行機が出発するゲートが決まっていないので、掲示板を見て出発ゲートに向ってくださいとのこと。そう言い残して姉さんは去っていきます。この対応には困惑しましたが、出発ゲートにいなければならない時間まであと4時間ほどあります。せっかく入国したので空港の外に出てみます。
リニアモーターカーと地下鉄を利用し、やってきたのは外灘です。中国の煌びやか夜景は、非常に美しく感じました。
5.まとめ
吉祥航空は初めて利用しましたが、新千歳から上海の便に関しては値段相応のサービスであると感じました。サービスのレベルはFSCとLCCとの中間といった形です。また、スカイマーシャルの方がいる分、機内での犯罪は起きにくいと思います。
あまりサービスには期待せず上海へ安く行きたい方は、吉祥航空を利用してもいいと思います。
しかしこの吉祥航空、長距離便はサービスのレベルが大きく異なりました。あたかも別の航空会社に乗っているようです。後半へ続きます。
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